ぽっこりお腹の代名詞である内蔵脂肪。
食が豊かになり太りやすくなった現代では、単なる体重過多ではなく内臓脂肪型の肥満=メタボリックシンドロームが増加しており、健康面の社会問題となっています。
一般的に女性よりも男性の方が増えやすい傾向にあり、40代以上の男性は2人に1人・女性は5人に1人が内臓脂肪型の肥満に該当している可能性があるほどです。 参考:メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者・予備群の状況(厚生労働省)では、内臓脂肪はどのような健康面の問題があるのでしょうか。
この記事では
・効果的なおすすめトレーニング
・意識すべき食事のポイント
を解説します。
毎日鏡に映る自分の体を見ているだけでは体は変わらないけど、できそうなことから行動を変えることができれば体は変わります!
「運動なんてご無沙汰で...」「体力に自信がない...」という方でも行える方法ばかり。「これならできそう!」と思えるものを見つけて、早速実践してみましょう!
落とす前に把握したい内臓脂肪のメカニズム

内臓脂肪とは

- 皮下脂肪
- 内蔵脂肪
皮下脂肪とは
皮膚ごしに触ることができる、プニプニした柔らかい体脂肪です。 体温を保つ役割がありますが、増えすぎると体温が高くなりすぎて私生活においても支障をきたす可能性があります。 皮下脂肪は体全身に対して均等に増減する特性があるため、局所的な減少は難しいです。内臓脂肪とは
肝臓・腸・胃などの臓器まわり(腹筋と内臓の間)に蓄積された体脂肪が内臓脂肪です。 内臓脂肪が多い方のお腹はパンパンに膨れた風船のような見た目をしています。 臓器を保護する役割があるため、臓器が集中しているお腹に蓄積されやすいです。 メタボリックシンドローム診断基準検討委員会では、男性は腹囲が85cm / 女性は90cm以上ある方を内臓脂肪型肥満として診断基準の1つに定めています。 参考:脂質代謝異常:診断と治療の進歩なぜ内臓脂肪はついてしまうのか

- 食生活の偏りによって臓器に負担がかかり疲弊する
- 臓器が正常に機能しなくなり、カロリーをエネルギーに変換しにくくなる=体脂肪の増加
- 体脂肪が異常に増加して臓器での処理が間に合わなくなり蓄積していく=内臓脂肪の増加
内臓脂肪がつきやすい人の生活パターン
そんな中でも、特に内臓脂肪がつきやすい人に多い生活パターンを以下にまとめました。- 1日2食以下でも1回の食事量が多い (量が多いと消化の際、臓器に負担がかかる)
- お酒を頻繁に飲む / 1回に飲む量が多い (アルコールの分解は臓器に負担がかかる)
- 睡眠不足(寝る時間が短いと疲れが残るため、生命維持の反応としてお腹が空きやすくなる)
- 一皿料理(麺類
・丼もの)を頻繁に食べる(糖質と脂質が多い /栄養に偏りがある)
内臓脂肪がかかえるリスク

- 臓器の機能が低下し、エネルギー代謝に異常をきたす。
- 脂質の代謝がうまくできなくなる「高脂血症」
を誘発 - インスリン抵抗性が低下して、糖質の代謝がうまくできなくなることで「高血糖」
を誘発 - 後天性の「2型糖尿病」
を誘発 - 高脂血症、高血糖による「高血圧」
を誘発 - 上記全てによる動脈硬化で、「虚血性心疾患
・冠動脈疾患
・狭心症
・脳血管疾患」
を誘発
内臓脂肪を落とすためのおすすめトレーニング

スクワット
【やり方】
- 足を肩幅より拳1〜2つ分広めに開く
- 両手を前に伸ばす
- 上半身は背筋を伸ばしたまま、お尻を後ろに引くようにしゃがむ
- 太ももが床と平行になる深さまでしゃがむ(上半身はやや前かがみ)
- 地面を押す用に立ち上がる
【回数】
- 15~20回×3〜5セット(30秒)で行う
【コツ・注意点】
- 常にお腹は踏ん張るように力を入れておきましょう
- 膝はやや外側に向けるよう意識すると下半身全体に刺激が入りやすい
- 楽に行える方は上下の動きにかける時間を2倍〜3倍に増やすと強度が上がる
- ジムに行く方はバーベルを肩に担いで行ってみましょう。最初は10kgから始めることをおすすめします
腕立て伏せ / プッシュアップ
【やり方】
- 床に四つん這いになって、両手は肩幅より拳3〜4つ分、外側に開く
- 肩、腰、膝、足首が一直線上になるように両足を後ろに伸ばす
- 胸が床すれすれの位置にくるまで体を下げる
- 床を押すようにして体を起こす
【回数】
- 8~10回×3~5セット(60秒休憩)で行う。
【コツ・注意点】
- 膝を伸ばして行うフォームがキツイ方は、膝を床につけて行いましょう
- 4.体を起こすときはお尻とお腹に力を入れると全身の筋肉を使いやすくなる
- 手首が痛い方はプッシュアップバーを使うと行いやすい
- 筋力レベルの合わせた負荷で行うことが重要なので、ご自身が踏ん張れる深さまで胸を下げればOK
- 胸よりお腹が先に触れてしまう方は、浅くなる分、上下動に2〜5秒ずつかけて行いましょう
HIIT / バーピー
【やり方】
- 足を肩幅に開き直立
- しゃがんで、両手を床につける
- 両足を後ろに伸ばす
- 2の位置に足を戻す
- 立ち上がる
- 上記1〜5の流れで20秒全力で動く+20秒その場歩き×6セット
- 週2〜3回は行えるとベストです!
【コツ・注意点】
- 筋トレと一緒に行う場合はHIIT後に、筋トレを行うと効果的
- 代謝が高い状態を維持するためにも、筋トレとは別日に実施したほうが良い
- 始めてHIITを行う場合は、開始する前に動作確認をしっかり行いましょう
- その場歩く中に水を飲みたい方は、スクイズボトルがおすすめ。呼吸が乱れているのでコップは飲みにくい
有酸素運動と組み合わせることで効果的に内臓脂肪を落とす

有酸素運動は長時間動き続けられる運動なので、負荷が低く体力に自信がない方でも行いやすいです。
健康目的で行う有酸素運動は動き続けるだけで良いですが、内臓脂肪を落とすのであれば軽度の負荷を加えましょう。時間も20分ほどで完結するものばかりなので長時間の運動も不要です。「これならできそう!」と思える運動から始めてみてください。
傾斜ウォーク
【コツ・注意点】
- 背筋を伸ばして目線を遠くに向けるとお腹にも刺激が入りやすい
- 夏は朝or日が落ちた19:00以降がおすすめ。日中に行う場合は5分に1回は水分補給をして、通気性の良い服で行いましょう
- 外を歩く場合は交通ルールとマナーを守りましょう
- 音楽を聴きながら行っても良いですが、音量を大きいと周りの車や自転車の音に気づかず事故に合う可能性が高くなります。イヤホンも片方だけ装着or小さめの音量にして周りの音が聞こえる範囲で行いましょう
サイクリング
【やり方】
- 実施時間:15〜20分
- ペダルの回転数(RPM:Rotations Per Minutes)は80回転以上をキープ
- 負荷はペダルの回転数が120/分でも10分以上キープできるくらい
【シート(サドル)の位置・高さの設定】
- シートは骨盤の高さにセット
- シートの前後の位置は、またがったときに、太ももが床と平行になる付近の高さにセット
- ハンドルはおへそ〜みぞうちの高さにセット
【コツ・注意点】
- 低負荷な有酸素運動でも水分は必ず用意しましょう
- 「2分間はやく漕ぐ / 1分間80回転で漕ぐ×5セット」のように緩急をつけて行うと効果アップが期待できます
水中ウォーキング
【やり方】
動きは様々ですが、基本的な動作のポイントをご紹介します。- 腕は大きく降る
- 少しずつスピードを上げましょう
- 歩幅も大きくして歩く
【コツ・注意点】
- シャワーを浴びてから入水しましょう
- プールではスイムキャップが着用が必須の施設がほとんどなので、事前に用意しておきましょう
- プールの各レーン内には往路と復路があり、基本的に一方通行です。前の人がゆっくり進んでいるときは追い越さず、ご自身が折り返して利用しましょう
- 水中ウォーキングは動作が大きいので周りの人にぶつからないよう注意しましょう
- 防水のブルートゥースイヤホンの利用ができない施設もあります。事前に確認しておきましょう
内臓脂肪を落とすための食事ポイント

少なくとも摂取カロリーは消費カロリーを超えない

バランスの良い食事

最も多い失敗パターンである、極端な食事制限はストレスによるリバウンドを誘発しやすい傾向にあります。
食事の改善は長期(最低でも3ヶ月以上)に渡って実施する必要があるので、現実的に実施可能な改善策でなくてはいけません。 最初から「糖質を抜く」のような改善策を行うのではなく、今の食事量は大きく変えず、内容を置き換えることから始めてみると成功しやすいです。まずはタンパク質を意識したバランスの良い食事をしながら、糖質・脂質の分を野菜に置き換えて全体の摂取カロリーを下げることからはじめましょう。
なお、以下の記事で内臓脂肪を撃退するための管理栄養士おすすめメニューも紹介しています。気になる方はぜひご覧ください!アルコールや揚げ物は制限する

アルコールや食べ物の分解は肝臓で行われます。
肝臓の主な役割は3つ
- 栄養の合成と貯蔵 (消化された食べ物の栄養をエネルギーに変換する)
- 解毒 (アルコールの分解)
- 胆嚢の合成と分泌 (老廃物の排出)
よく噛んで食べる

人間には満腹中枢とよばれるセンサーが脳にあり、20分以上かけて食事をすると満腹感を感じやすくなります。
スリムな人・少食な人ほどゆっくり食事をしますが、内臓脂肪が増えやすい方は大食いであり早食いの傾向が高いです。
あまり噛まず、すぐ飲み込んでしまうから満腹中枢が作動する前にたくさん食べてしまい、カロリー過多により体重と体脂肪が増加してしまいます。
「もしかしたら自分も当てはまっているかも」とドキッとした方はよく噛んで食べることを心がけましょう。
よく噛んで食べるためのコツは4つです。
- 1口含んだら毎回、箸を置く
- かき込むように食べないで一口ずつ口に運ぶ
- 皿もその都度、テーブルに置く
- 飲み込んでから箸を持つ
早食いの方は常に皿と箸が手に触れている傾向にあります。
最初は違和感ばかりで食べにくいかも知れませんが、1~2週間続けていくと習慣になって染み付いていくものです。
今すぐ実践できるので、次の食事から早速試してみましょう!
まとめ

- 高血圧
・高血糖
・高脂血症などの診断結果を受けている方 - ベーターブロッカーなどの薬を服用している方
- 整形外科に通院中の方
- 現状の腹囲 / 体重 / 体脂肪率 /血圧を計測してみる
- ご自身の食習慣や生活リズムを振り返り、改善できる点を見つける
- 通院中の方は、医師に運動や食事改善の実施について相談する
- 家や職場近くのジムを探してみる

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